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子どもの感覚過敏とは?音・触覚・食感がつらい理由と家庭でできる工夫

子どもの感覚過敏と音・触覚・食感などの感覚との関係を紹介する記事のアイキャッチ画像

「大きな音がすると耳をふさぐ」
「服のタグや靴下をとても嫌がる」
「食べ物のにおいや食感で食べられない」
「人に触られるのを嫌がる」
「まぶしい場所を嫌がる」

子どものこうした様子を見て、

「どうしてそんなに嫌がるの?」
「慣れれば平気になるのでは?」
「発達障害と関係があるの?」

と気になることがあります。

感覚の感じ方には個人差があります。

同じ音、同じ服、同じ食べ物でも、

「特に気にならない」

と感じる人もいれば、

「とてもつらい」
「我慢できない」

と感じる人もいます。

子どもが強く嫌がるときは、

「わがまま」
「気にしすぎ」

と決めつけるのではなく、

「この子には、どんな刺激がつらいのだろう」

と考えてみることが大切です。

目次

子どもの感覚過敏とは?

感覚過敏とは、音、光、触った感じ、におい、味などの刺激を、ほかの人より強く不快に感じる状態を表す言葉として使われます。

ただし、「感覚過敏」という言葉そのものが、一つの病気や診断名というわけではありません。

感覚の感じ方は人によって異なり、

・少し敏感
・特定の刺激だけ苦手
・生活に大きな影響が出るほどつらい

など、程度もさまざまです。

大切なのは、

「感覚過敏があるか、ないか」

だけではなく、

「何がつらいのか」
「どのくらい生活に影響しているのか」
「どうすれば楽に過ごせるのか」

を見ることです。

どんな感覚が過敏になることがある?

人は日常生活の中で、さまざまな感覚を使っています。

そのため、感覚過敏の現れ方も一つではありません。

音に敏感

聴覚が敏感な子どもでは、

  • 掃除機やドライヤーの音を嫌がる
  • 雷や花火を怖がる
  • 教室やショッピングモールのざわざわした音がつらい
  • 突然の大きな音で耳をふさぐ
  • 人の声がたくさん重なる場所を嫌がる

といった様子がみられることがあります。

大人には「少しうるさい」程度でも、本人には非常に強い刺激として感じられる場合があります。

触られることや服が苦手

触覚が敏感な子どもでは、

  • 服のタグを嫌がる
  • 特定の素材の服を着たがらない
  • 靴下を脱ぎたがる
  • 人に突然触られるのを嫌がる
  • 手をつなぎたがらない
  • 髪を切る、爪を切ることを強く嫌がる

といったことがあります。

服が少し濡れただけで着替えたがる子もいます。

国立障害者リハビリテーションセンターも、タグ、素材、留め具の重みなどが負担になっている場合があるため、どのような肌ざわりが苦手なのかを見つけることが大切だとしています。

においに敏感

嗅覚が敏感な場合には、

  • 料理のにおいで気分が悪くなる
  • 香水や柔軟剤のにおいを嫌がる
  • 給食室やスーパーの食品売り場を嫌がる
  • 特定の食べ物をにおいだけで拒否する

といったことがあります。

周囲の人には気にならないにおいでも、本人には強く感じられることがあります。

味や食感に敏感

食事では、

味
におい
温度
食感
見た目

など、複数の感覚を同時に使います。

そのため、

  • 特定の食感しか食べられない
  • 食材が混ざると食べられない
  • 少しでも味が違うと拒否する
  • 温度が違うだけで食べられない
  • 口の中に残る食感を嫌がる

ということがあります。

感覚の感じ方と偏食について詳しくはこちら

光や見た目に敏感

視覚的な刺激が負担になる子どもでは、

  • 明るい照明をまぶしがる
  • 太陽の光を強く嫌がる
  • 人や物が多い場所で疲れやすい
  • 派手な模様や動く映像を嫌がる

といったことがあります。

サングラスや帽子などで楽になる子もいます。

揺れや体の動きが苦手

ブランコや遊具、高い場所などを強く怖がる子もいます。

一方で、

強く揺れる
回る
ジャンプする

といった刺激をとても好む子もいます。

感覚には「敏感さ」だけでなく、「刺激を強く求める」ような現れ方もあります。

感覚過敏はなぜ起こるの?

感覚過敏の背景は一つではありません。

私たちの脳は、目、耳、皮膚、鼻、口、体の動きなどから入ってくる情報を受け取り、必要な情報を整理しながら生活しています。

その刺激の受け取り方や整理の仕方には個人差があります。

そのため、

同じ音でも強く感じる
触られることを非常に不快に感じる
においが強すぎるように感じる

ということがあります。

「本人が気にしすぎている」

というより、

本人にとって本当に強い刺激として感じられている可能性があります。

「感覚過敏=発達障害」ではありません

感覚過敏について調べると、

「発達障害」
「自閉スペクトラム症(ASD)」

という言葉を目にすることがあります。

実際に、自閉スペクトラム症などの神経発達症のある子どもの中には、感覚刺激への強い反応や、逆に刺激への反応が弱い子がいます。

一方で、

感覚過敏があるからといって、発達障害と判断することはできません。

感覚の感じ方には個人差があります。

大切なのは、

感覚過敏があるかどうかだけではなく、

  • 人とのやりとり
  • ことばやコミュニケーション
  • 行動や興味の特徴
  • 日常生活での困りごと
  • 発達全体

などを含めて見ることです。

自閉スペクトラム症(ASD)について詳しくはこちら

発達障害(神経発達症)全体について知りたい方はこちら

感覚過敏は「慣れさせれば治る」?

感覚が苦手だと、

「少しずつ我慢させれば慣れるのでは?」

と思うことがあります。

しかし、苦手な刺激を無理に我慢させれば必ず慣れる、というわけではありません。

強い刺激を繰り返し経験することで、

怖い
つらい
逃げたい

という気持ちが強くなることもあります。

国立障害者リハビリテーションセンターも、苦手な感覚は努力だけで克服するのが難しいことがあり、生活に大きな支障がなければ無理に克服させる必要はないとしています。

大切なのは、

「我慢できるようにする」

ことだけではなく、

「どうすればつらさを減らせるか」

を考えることです。

家庭でできる感覚過敏への工夫

感覚の感じ方は一人ひとり違うため、

すべての子どもに共通する方法があるわけではありません。

その子にとって何がつらいのかを確認しながら調整します。

苦手な刺激を減らす

音が苦手なら、

静かな場所へ移動する
大きな音が出る前に知らせる
イヤーマフや耳栓などを使う

といった方法があります。

光が苦手なら、

照明を弱くする
帽子を使う
まぶしい場所を避ける

などの方法があります。

刺激そのものを減らすことで、生活しやすくなることがあります。

事前に知らせる

突然の刺激が特につらい子もいます。

たとえば、

「これから掃除機をかけるよ」
「あとでドライヤーを使うよ」
「今日は人が多い場所に行くよ」

というように、前もって知らせます。

何が起きるか分かることで、不安が減る子もいます。

無理に触らない

触られることが苦手な子どもに、

「これくらい平気でしょう」

と突然触れると、強い不快感や驚きにつながることがあります。

髪を切る。

爪を切る。

服を着替える。

体を洗う。

こうした場面では、

先に声をかける
本人が準備できるまで少し待つ
短時間で終える

といった工夫ができます。

服や道具を調整する

触覚が敏感な場合には、

タグを切る
縫い目の少ない服を選ぶ
肌ざわりのよい素材を選ぶ
締めつけの少ない服を選ぶ

などの工夫があります。

本人が安心して着られる服が限られていても、

「同じ服ばかり着るのはよくない」

と考える必要はありません。

落ち着ける場所をつくる

刺激が多い場所で疲れたときに、

静かな部屋
部屋の隅
テントのような小さな空間

など、少し刺激を減らせる場所があると安心できる子もいます。

国立障害者リハビリテーションセンターも、落ち着ける場所を用意し、刺激を減らすことを一つの方法として紹介しています。

本人が安心できる感覚を見つける

苦手な感覚だけでなく、

「これは落ち着く」

と感じる刺激を探すこともできます。

お気に入りの毛布。

好きな音。

落ち着く場所。

心地よい触り心地。

こうしたものが安心や気分転換に役立つことがあります。

園や学校ではどうすればいい?

感覚過敏は家庭だけでなく、

園
学校
習い事

などでも困りごとにつながることがあります。

たとえば、

教室のざわざわした音がつらい
運動会の音響が怖い
給食のにおいがつらい
制服の素材が耐えられない

ということがあります。

本人が我慢するだけではなく、

先生に、

「どんな刺激が苦手なのか」
「どうすると楽になるのか」

を伝えることが大切です。

必要に応じて、

静かな場所で休む
席の位置を調整する
イヤーマフを使う
服装を調整する

などの配慮を相談できる場合があります。

感覚過敏と癇癪には関係がある?

感覚刺激が強すぎると、

子どもが突然泣く
怒る
その場から逃げる
耳をふさぐ
パニックになる

ことがあります。

周囲から見ると、

「急に癇癪を起こした」

ように見えることがありますが、

本人にとっては、

「刺激が強すぎて耐えられない」

状態になっている可能性もあります。

そのため、

行動だけを見るのではなく、

「その直前にどんな音や刺激があったか」

を見ることが大切です。

子どもの癇癪について詳しくはこちら

相談した方がいいのはどんなとき?

感覚に敏感でも、本人が生活に困っていなければ、必ず相談が必要というわけではありません。

一方で、次のような場合には専門家への相談を考えてもよいでしょう。

  • 音や光などを強く怖がり、外出が難しい
  • 服をほとんど着られない
  • 食べられるものが非常に限られている
  • 園や学校への参加が難しい
  • 感覚刺激によって頻繁にパニックになる
  • 本人が強い苦痛を感じている
  • 生活上の困りごとが大きい
  • 感覚以外の発達についても気になることがある

また、

以前は平気だった刺激を急に強く嫌がるようになった
痛みや聞こえ、見え方など身体面が気になる

という場合には、別の病気や身体的な問題がないか確認することも大切です。

相談先はどこ?

相談先としては、

  • かかりつけの小児科
  • 発達を専門とする医療機関
  • 自治体の発達相談
  • 保健センター
  • 作業療法士
  • 園や学校の先生
  • 地域の発達障害者支援センター

などがあります。

音への反応が特に気になる場合には耳鼻咽喉科、

光や見え方が気になる場合には眼科など、

症状によって身体面の確認が必要な場合もあります。

相談するときには、

「感覚過敏があります」

だけでなく、

「何が苦手なのか」
「どんな場面で起きるのか」
「どのくらい強く反応するのか」
「どうすると落ち着くのか」
「生活にどのくらい影響しているのか」

を伝えると、状況を整理しやすくなります。

感覚の感じ方だけで、その子を決めつけない

感覚に敏感な子どもは、

周囲の人が気づかない音
におい
肌ざわり
光

などを強く感じていることがあります。

それは、

「わがまま」
「我慢が足りない」

ということではありません。

一方で、

本人が苦手な刺激をすべてなくす必要があるわけでもありません。

何がつらいのか。

何なら大丈夫なのか。

どんな工夫があると過ごしやすいのか。

本人と一緒に少しずつ見つけていくことが大切です。

理解できることが増えれば、できることも増えていきます。

参考資料

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